週刊心房細動

その病院でオペを受けて大丈夫ですか?

【実録】私が見た、二度と治療を受けたくない病院

この記事では、なにか役に立つ情報ではなく、実際に私が見た二度と治療を受けたくない病院についてお伝えする。

 

それは3回目のアブレーション治療受ける患者のサポートのことであった。

2回3回アブレーション治療を受ける人を見るのは日常茶飯事ではあるが、さすがに3回目となると、さぞ難しい不整脈で治療も大変なのだろうなといつも感じる。

いざ手術が開始し、まずやることといえば患者の心臓がどれくらいの健康状態なのかの確認である。不整脈が進んでいるほど傷んでいたり、また特殊な形の心臓をしていたり、前回の手術でどのような場所を焼いたのかを確認する作業がある。

 

いつものように心臓の評価をしていたところ、なにやら先生が悩んでいる様子。

医療機器のモニターを見てみると、その理由がなんとなくわかってきた。

本来心房細動治療では、左右の肺静脈を隔離するように焼くのが当たり前であるが、どうやら片方の肺静脈しか治療されていないようであった。

「ひどいねこれ・・・」

という言葉が先生から漏れ、これではまた患者にアブレーション手術を受けろと言っているようなもので、以前治療した病院では一回で心房細動を治すという気はさらさらなかったのである。

 

細かいことをいえば、左右の肺静脈を治療しなくても、心房細動の原因となる場所さえ治療できれば全く問題ないと言えるのかもしれないが、その考え方は全くスタンダードではない。いずれ高齢になるにつれて、もう片方の肺静脈が原因となって再発する可能性が高いからである。

結局、アブレーション治療自体はなにも問題なく終わったのであるが、「なぜ再発したのか?」と聞かれたら、「以前治療を受けた病院の医者の考え方に問題がある」としかいえない。

 

もしかしたら、よこしまな推測ではあるが、再び患者として病院に来てもらえれば、手術実績も増えるしなにより病院収益になることを期待したのかもしれない。その都道府県でもっとも有名な病院の1つではあったが、いまだにそのような考え方でアブレーションに取り組まれていることは疑念でしかない。

そしてこういったケースはなにもアブレーションに関わらず、例えば心臓血管のステント手術でも、血管の狭窄がほとんどないにも関わらず、とりあえずステントを入れようという病院も存在する。ステントという金属は、当然人体からすれば”異物”であるため無駄な留置は避けるべきである。なにも小さな病院の話ではなく、手術件数の多い病院ほど注意が必要である。